開発者コラム 光触媒の評価が分かれる理由 ― 実験条件と本質を正しく理解する ―
〜「以下は開発者の実体験に基づく見解です」〜
光触媒は「効く・効かない」と評価が分かれることがあります。
しかしその多くは、製品の性能そのものではなく、実験条件や環境設定の違いによって生じています。
ここでは、実際に行われた検証事例をもとに、光触媒の本質と、評価の際に見落とされやすいポイントについて解説します。
事例① 密閉空間で「途中から効かなくなった」理由
タイ・キングモンクット大学工学部にて、ナノゾーンソリューションのVOC分解実験が行われました。
密閉された1m³の箱の中でホルムアルデヒドを流入させたところ、初期段階では濃度が大きく低下しましたが、一定時間経過後に分解が停止するという結果となりました。
この結果から「継続的に分解できない」と評価されましたが、原因は製品ではなく環境条件にありました。
光触媒反応には、以下の4つの要素が必要です。
- 光エネルギー
- 酸素(または水)
- 触媒(酸化チタン)
- 分解対象物
この実験では密閉空間であったため、空気中の酸素(約21%)が消費され、反応に必要な酸素が不足しました。
その結果、ホルムアルデヒドの濃度が変化しなくなった=反応が停止した状態となったのです。
事例② 水中で「変化が見えない」理由
シンガポール大学では、水中の微生物(褐藻類)を対象とした分解実験が行われました。
高濃度に培養された褐藻類を含む水中にナノゾーンソリューションを添加し、光を照射したものの、一週間経過しても見た目の変化が確認されませんでした。
しかしこの場合も、評価条件に課題があります。
- 水が不透明で光が十分に届いていない
- 分解対象の量が非常に多い
- 分解に必要な時間が考慮されていない
光触媒は、光が届く範囲で反応が進行します。
また、分解は一瞬で消える現象ではなく、段階的に進む反応です。
そのため、極端な条件下では「効かない」と誤認されることがあります。
実用環境での検証結果
一方で、チェコ共和国では実用環境に近い条件での検証が行われています。
上水供給施設のタンク(直径8m・高さ4m)の内壁全面に施工し、内部にLED光源を設置。
その状態で1年間にわたり上水を供給しながら微生物の有無を確認しました。
その結果、期間中一度も微生物は検出されませんでした。
これは、適切な条件下において光触媒が継続的に作用することを示しています。
水中での光触媒の特徴
光触媒は水中においても作用し、水分子からヒドロキシラジカルを生成し、強力な酸化分解を行います。
ただし、以下の点に注意が必要です。
- 光は水中で急速に減衰する
- 水の透明度によって到達距離が大きく変わる
- 水は空気より粘度が高く、流動性が低い
そのため、実用においては
光量・水質・流動性といった条件設計が重要となります。
まとめ
光触媒は、特定の条件下でのみ機能するものではなく、
環境条件に応じて作用の見え方が変わる技術です。
評価を行う際には、
- 光が十分に届いているか
- 酸素や水が供給されているか
- 分解対象の量と時間設定が適切か
といった基本条件を踏まえることが重要です。
ナノゾーンでは、第三者機関による評価に加え、実環境での検証を重ね、現場で通用するかどうかを基準に技術の提供を行っています。
広報:清水

