開発者コラム カビ対策で守る、私たちの健康な環境
身近なカビの脅威
カビは私たちの生活空間や職場のあらゆる場所に存在しています。特別な条件がなくても発生し、一般的な細菌よりも頑丈な性質を持っています。集団で繁殖するカビは、種類ごとに独特の色素を持ち、条件が整えばわずか数日で目に見える大きさまで成長します。そのスピードと強靭さが、防止や除去を困難にしているのです。
浴室や台所でよく見かける黒カビ、パンや果物の表面に現れる青カビのほか、水虫の原因となる白癬菌や、肺の中で増殖するカビも日常的に存在しています。
カビが好む環境とは
「カビは高温多湿の場所に発生する」とよく言われますが、具体的にどの程度なのでしょうか。実は、人間が快適に過ごせる環境条件は、カビにとっても快適な環境なのです。カビは酸素を必要とするため、広範囲のあらゆる表面で繁殖します。肺の内部でさえ、外気が出入りするため皮膚と同様の条件となり、カビの温床になりえます。
カビは胞子と呼ばれる強固な殻を持つ単細胞からスタートします。適度な湿度・温度・栄養・酸素が揃うと、植物のように発芽して成長を始めます。目に見える大きさになる頃には、すでに次世代の胞子が膨大に発生し、周囲一面に飛散しているのです。
なぜカビは退治しにくいのか
水虫の治療に長い時間がかかることをご存知でしょうか。腹痛で抗菌剤を服用する場合と異なり、水虫の外用薬治療には半年程度を要します。これは、カビに効果的な薬品の種類が限られており、カビ自体が非常に頑丈で全滅させにくいためです。
浴室や洗濯槽(自動乾燥機能なし)では、乾燥させることがカビ対策の基本ですが、濡れた状態と乾燥状態を繰り返すため、かえってカビが繁殖しやすくなります。冷蔵庫内でも、低温は通常の微生物の増殖を抑えますが、カビの繁殖にはあまり効果がありません。しかし、効果的な薬品は価格が高く、浴室や台所以外での使用は現実的ではありません。
効果的な解決策
ナノソルCC・ナノゾーンソリューションは、確実な防カビ効果を発揮します。製品に含まれる自己結合性酸化チタン粒子が、カビと接触すると直ちに分解を開始し、死滅させます。一度施工した表面には長期間定着し、継続的な防カビ効果を発揮します。
浴室、洗濯槽、台所用品、冷蔵庫、脱衣場、クローゼット、カーペット、カーテン、壁紙、家具など、素材を問わず表面に施工でき、素材本来の質感や色調を損ないません。数日後にカビ臭やカビの発生が見られた場合は、除去して再施工が可能です。表面の感触や色調に影響を与えないため、何度でも施工できます。
カビがもたらす健康リスク
カビの発生は、空気中に漂う胞子の不快な臭いだけでなく、さまざまな健康被害をもたらす可能性があります。シックハウス症候群、水虫、気管支炎、過敏性肺炎、アレルギー性鼻炎、まれに肺で増殖して重篤な健康被害を引き起こすケースもあります。カビの繁殖を防ぐことは、私たちの健康で安全な生活環境を守るために不可欠です。
<実際の成功事例>
食品工場の会議室での対策
ある国の食品工場(約2000㎡)で、会議室の壁紙に大量のカビが発生していました。調査の結果、壁の裏側に常時蒸気を使う加工工程があり、壁を通じて熱が伝わることで、壁紙表面に温度差が生じて結露が発生していたことが判明しました。
対策として以下を実施しました。
- 壁紙の交換と表裏へのナノゾーンソリューション施工
- 蒸気使用工程の移動
- 換気ダクトの能力不足の改善(配管の太さと換気ファンの交換)
これらの設備改善により、カビの発生は完全になくなりました。
食品業界におけるカビ問題
最近社会問題となった紅麹サプリメントの事例では、加工工程で発生したカビが原因と指摘されています。通常、少量の青カビを摂取しても直ちに食中毒を起こすことは報告されていません。しかし、特殊な栄養条件で長期間培養された場合、短期間で健康を害するカビ毒が発生する可能性については、十分に解明されていません。カビの性質は複雑で、生育条件や他の微生物の影響により、生産する成分が大きく変化することがあります。
かつては餅のカビを削って食べることも珍しくありませんでしたが、乾燥食品の表面に発生した程度のカビであれば、健康な人にとって深刻なカビ毒はないとされています。
生菓子製造工場での課題
ある生菓子製造工場では、梅雨時から夏場にかけて、納品した製品からカビが発生するクレームが毎年寄せられていました。対策を提案しましたが、施工費用と短期的な対応費用を比較し、お詫び対応を継続する選択をされました。食品におけるカビ被害は急性食中毒を引き起こす事例がほとんどないことから、軽視される傾向がありますが、食品を扱う企業としては危険な認識です。より安全な食品提供のための意識改革が必要です。
海外での特殊な事例
シンガポール空軍基地の地下司令部 地下数階にわたる司令部施設全体にカビが繁殖し、常にカビ臭がする環境での勤務が健康上の懸念となっていました。厳重なセキュリティの中、換気装置の図面と設備内容を確認し、施工方法を提案しました。機密性が高く、その後の結果は不明ですが、重要施設における環境改善の必要性を示す事例です。
法律事務所の資料保管庫 シンガポールの大手法律事務所では、膨大な契約関連資料を保管する図書館のような空間がありました。高層ビルの一角にある保管庫は、天井まで届く書架が並び、換気が不十分な状態でした。資料は多くの人の手に触れ、手垢が付着するため、カビの温床となっていました。空気が滞留しやすい場所を特定し、棚と資料に重点的に施工を行い、サーキュレーターの設置を提案しました。
カビの世界は奥深い
自然界におけるカビの生態系は極めて複雑です。研究では純粋な条件下で性質を調べますが、実際の自然環境では、さまざまな微生物が共存し、時には競合し、時には協力し合って生きています。カビは環境条件によって姿を変えるため、その複雑さは一層増します。実は、カビについて私たちが知らないことはまだまだ多いのです。
まとめ
カビ対策は、単なる清潔さの問題ではなく、私たちの健康と安全を守るための重要な取り組みです。適切な知識と効果的な対策で、快適な生活環境と職場環境を実現しましょう。
広報:清水

