【ナノゾーンコート施工実績】汚れを雨で落とす、光触媒の力──ナノゾーンコート外壁施工レポート
施工を担当されたナチュラルフリー株式会社の藤木克行さんにインタビューを行いました。
■ 今回の施工に至った経緯
東京都江戸川区の在宅医療施設 しろひげ在宅診療所様。その建物の大きな特徴は“真っ白な外観”です。
一般的なクリーム色やアイボリーではなく純白に近い外壁は、非常に美しい一方で、懸念されるのは「汚れの目立ちやすさ」。 実際、白い外壁は雨染みや排気ガスの付着などがどうしても目立ちます。
しろひげ診療所様では完成後の清掃費用も試算に入れて、新築を予定されていました。
そこで私の方から「ナノゾーンコートによる光触媒コーティング」を提案させていただきました。 当時はナノゾーンコートの外壁への施工実績はまだ限られていましたが、内装においての光触媒効果──たとえば消臭・抗菌・防カビなど──はすでに多くの事例がありました。
すべての有機物を施工面で瞬時に分解するナノゾーンコート。外壁への施工ではセルフクリーニング効果(汚れの分解+雨水による洗浄)が期待でき、その結果、完成後の外壁清掃費用や塗り替え・補修などのメンテナンス費用を削減し、約3年で施工費用を回収できる見込みがあることを、数値としてご提示しました。
結果的に「建物完成後の清掃」と入れ替えるかたちで、ナノゾーンコートの施工が正式に設計に組み込まれることとなりました。
■ 採用された理由
一番は「汚れを雨で落とすセルフクリーニング効果」。これによって清掃費用が削減できることです。ですが、正直それだけなら、似たような効果を謳う他社製品もあります。
では、なぜナノゾーンコートが選ばれたのか?
そこには「しろひげ在宅診療所様の施設づくりの想い」と「ナノゾーンの理念」の整合性がありました。
具体的には「自然素材を使いたい」「ホルムアルデヒド対策をしっかりしたい」「人体にも環境にもやさしいものを選びたい」といった価値観です。
ナノゾーンコートは、接着剤(バインダー)を一切使わず、水・エタノール・酸化チタンというシンプルな成分で構成されています。
一般的なコート剤に使われるバインダーには、揮発性有機化合物(VOC)が含まれることが多いのですが、ナノゾーンコートにはそれが一切含まれていません。
さらに、費用面でも評価をいただきました。
バインダーレスでスプレーガンで噴霧施工を行うナノゾーンコートは、乾燥を待たずに連続施工が可能になるため、工期が短縮による人件費削減が実現できます。
光触媒としての性能はもちろん、安全性・環境性・コスト面のバランスといった総合的な「費用対効果の高さ」が、採用の決め手となったのだと思います。
■ 施工時に工夫した点・苦労した点
現場としては、3階建ての建物の外壁・窓ガラス・屋根全体が施工対象だったので、足場上での作業が中心となります。
まず第一に重視したのは「安全」です。 作業にあたるスタッフ全員にフルハーネスとヘルメットの着用を義務づけもちろん「フルハーネス型墜落制止用器具特別教育」も修了済みです。スプレーガンにつながるホースも十分な長さを確保し、私自身も現場監督として立ち合い、常に安全面には細心の注意を払いました。
苦労した点としては、「天候の影響」が挙げられます。ナノゾーンコートの液剤は霧状に噴霧するため、風が強いと施工面にしっかり届かず、施工を一時中断せざるを得ない場面もありました。もちろん雨天時も施工はできません。
ただし、ナノゾーンコートは乾燥時間が不要なため、晴れ間があればすぐに施工が可能です。清掃業者さんの作業が終わった直後に、追いかけるようなかたちで施工できたため、現場は非常にスムーズに進行した印象です。
■ 施工後の反応と、今後の見通し
ナノゾーンコートは「目に見えないけれど、ずっと働き続ける」という技術。 だからこそ、効果を数値で“見える化”することが大事だ考えています。
しろひげ在宅診療所様の建物でも、定期的に施工面の約10ヶ所でATPふき取り検査(ルミテスター)を実施し、結果レポートとしてご提出しています。
施工は2021年8月に行いましたので、今年(2025年)の8月でちょうど丸3年になります。 これまで2年半点検なども実施していますが、数値は安定していて、現在まで特に問題は確認されていません。
今後は、施工から約8年後を目安に、再施工をご提案する予定です。
ただそれも「劣化したから補修」というよりは、という考え方ではなく、浮いている清掃費用を活用して、ナノゾーンコートの性能をさらに高める──いわば“アップグレード”という位置づけです。
■ 最後に
理念ある建物づくりに、技術で応えたい。
今回のように、「清掃費を抑えたい」「白さを保ちたい」という実務的なニーズと、 「人にやさしい」「地球にもやさしい」という思想的なビジョンの両方が揃っていた現場に、ナノゾーンコートで貢献できたことは本当にうれしく思っています。 これからも、価値観を共有できるお客様と一緒に、よりよい環境づくりを進めていきたいと思っています。
(マーケティング 丹羽)