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開発者コラム① 自然界の知恵を技術に活かす─「ヤモリ先生」に学んだ素材開発のヒント

皆さまは、夏の夜に窓ガラスに張り付いているヤモリをご覧になったことはありますか?
実はこの小さな生き物が、私たちの製品開発において重要なヒントを与えてくれました。

今回ご紹介するのは、「自己結合性酸化チタン」という技術です。一見すると難解に思えるかもしれませんが、その着想の源は、ヤモリの足の構造にあります。

ヤモリの足が示す、驚異の接着メカニズム

ヤモリは、ガラスのような滑らかな垂直面でも自在に移動することができます。虫たちは滑って落ちてしまうのに対し、ヤモリはまるで地面を歩くかのようにスムーズに動きます。

その秘密は、足の裏に存在するナノスケールの微細な突起にあります。これらの突起が、接触面との間に働く分子間力によって吸着し、ヤモリの体を支えているのです。吸盤のように見えるかもしれませんが、実際にはまったく異なる原理が働いています。

ヤモリの構造をヒントに、素材が自ら結合する技術へ

このヤモリの接着メカニズムをヒントに、私たちは「自己結合性酸化チタン」の研究開発に取り組みました。酸化チタンは本来、無機物であり、通常は表面に自然に付着することはありません。しかし、粒子を極限まで微細化することで、ヤモリの足のように分子間力による結合が可能になるのではないかという仮説を立てました。

その結果、現在皆さまにご利用いただいている製品が誕生したのです。

バイオミメティクス──自然から学ぶ技術革新

このように、生物の構造や機能を模倣し、技術に応用する分野は「バイオミメティクス(生物模倣技術)」と呼ばれています。私たちの製品にも、自然界の知恵が数多く活かされています。

 

広報 清水

 

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